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護衛獣は守護者 中編







―――――体は剣で出来ている―――――


突然、頭の中に、この言葉が響いた


―――――血潮は鉄で 心は硝子―――――


そこは幾つもの剣が突き刺さった丘


―――――幾たびの戦場を越えて不敗―――――


剣の墓場と言うべき丘で、独りの騎士が佇んでいる


―――――ただの一度も敗走は無く―――――


優しさ故に、不器用な青年


―――――ただの一度も理解されない―――――


彼が望むのは、破綻した幻想


―――――彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う―――――


己が傷ついても全てを救う、正義の味方


―――――故に、生涯に意味は無く―――――


私は確信した


―――――この体は、きっと剣で出来ていた―――――


きっと彼は私と同じなんだと・・・










護衛獣は守護者
中編










目が覚めると、さっきの夢を思い出す。

剣の丘に立つシロウさん。

あれは・・・あの世界は何なんだろう?

あの剣の墓場が、頭から放れない・・・

そして、何故シロウさんはあそこにいたのだろう?

私は夢見が良い方ではない・・・けど、さっきの夢は普通ではなかった。

考えれば考えるほど深まる謎・・・結局考えるのは後回しにした。

部屋を出ると、良い匂いがする。

今日の食事当番は私だったはずだけど?

誰が料理をしているのか確かめるため、キッチンに行くと・・・



「む、起きたか」



片手にフライパンにエプロン姿のシロウさんを見て、さっきの夢は完全に打ち砕かれた。










†           †           †











「ひぎゃあぁぁぁああぁ!!」

「もう少し声を落としたまえ。五月蝿くてかなわんのだが」



溜息交じりで、顔に刺青をした男にそう言うと

周りが一斉に私のほうを向く。

すると一人の女性が、私に話しかけてきた。



「貴様、何者だ?」

「なに、ついさっき突然召喚された、しがない掃除屋さ」



そう・・・たとえ英霊であっても、所詮私は掃除屋でしかない。

それを聞いた彼女は怒り交じりに声を荒げた。



「召喚されただと・・・? アティ、まさかお前が?!」

「ち、違いますよ!」

「彼女ではない・・・だが、誰が私を召喚したのかわからないがな」

「お前は・・・はぐれなのか?」

「・・・はぐれとはなんのことかは分からないが

 君が思っている通りではないのかね?」

「・・・そうか」



はぐれと聞いたものの中で数人が顰めっ面をした。

恐らくはぐれとは、行き場や召喚主を失った者のことだろう。

このなかで、明らかに精神生命体や、亜人、鬼人といった者がいる。



(やれやれ、随分と厄介な世界に来たものだ)



もちろん異世界にくるのはこれがおそらく初めてだろう。

生前は異世界は元より、平行世界にすら行ったこともなかった。

英霊になることで、時間と言う概念はなくなり、永遠に等しい

途方もない刻を過ごすのだが、ここに召還されるまでは何度か

平行世界に召還されているはずだ・・・ただ、私自身がは覚えていないだけだろう。



「ぐぅ・・・ちくしょう、テメェよくもやりやがったな?!」



さっきの男が手に刺さった矢を抜きながら私に睨み付けて来た。

人間にしては結構な魔力と殺気を持っているが、遠坂のそれと比べたら微々たるものだ。



「こうなったらガキ共を殺して」



男が全てを言う前に、足を強化して一気に跳ぶ。

それを見ていたものは、一瞬呆然とする・・・

どうやら私がただの跳躍で崖を上るとは、思っても見なかったようだ。

男も呆然としていたらしく、私を目の前にしても全く動けずにいた。

とりあえず、こういう好戦的な相手は早めに潰すに限る。



ドゴッ!!



「がはぁ!!」



何も投影せずに、ただ殴った。

しかし、この身は英霊・・・たとえ手加減したとしても

人間相手では致命的と言わざるを得ない。

まともに腹に入ったためか、糸が切れた人形のように崩れ落ちた。



「総員、ビジュを救出しつつ奴等をなぎ倒せ!」

「しかし、隊長?!」

「あんな奴でも軍の一員だ・・・ほっとく訳にはいくまい」



どうやら彼女は隊長らしい・・・

次々と兵達がこちらに向かってやってきた。



「ちょ、ちょっと貴方、どうするんですの?!」

「こわいです・・・」



すぐ近くから少女達の声を聞くと、声がした方を向く。

そこにはたった今、自分が助けた2人の少女がいた。

2人を見た時、何故かある少女とダブって見えた。

自分の姉でもあり、妹でもあった聖杯である少女に・・・

結局、イリヤはあの戦いが終わった1年後に死んでしまった。

もともと聖杯のために作られたために、体にガタがきていたらしい。

遠坂曰く、1年持ったこと自体奇跡だったそうだ。

だが、結局私はイリヤを助けることが出来なかった。

今思えばイリヤの死は、私が破滅への道を歩むきっかけだったのかも知れない。

誰も死なせないと誓ったはずが、身近な人が死んでしまった・・・切嗣のように・・・

彼女の死が、私を変えた・・・あれ以来、私は狂ったように鍛錬し戦場を駆け巡った。

その結果が今の私だが・・・何故この2人がイリヤとダブって見えたのだろう?

わからない・・・しかし、今の私に出来ること、それは・・・



「大丈夫だ、君達は私が守ろう」



2人の頭を撫で、落ち着かせる。

この二人を守ること・・・下にいる連中なら大丈夫だろう。

少なくとも、自分の身は守れるはずだ。

弓を投影し、構える・・・さぁ、戦いを始めようか――――











◆            ◆            ◆












戦況は一方的だった。

彼は何処からか、矢を取り出しては、そして撃つ。

たったそれだけ・・・そんな単純な作業を繰り返すだけ。

それなのに兵達は、その攻撃に屈する。

ある者は足に刺さり、倒れこみ、ある者は矢が剣に中り、折れた剣を見て呆然とする。

さらには一本の矢が硬いはずの鎧を突き破り、もがき苦しむ者もいた。

圧倒的だった・・・あまりにも圧倒的な実力に誰もが目を見開く。

そんな彼の姿はまさに・・・英雄と呼ぶに相応しかった。



「馬鹿な・・・何故、矢ごときで兵達がいいようにやられるのだ?!

 それに、どこから矢を取り出しているんだ?! 奴は弓以外持っていないはずだぞ?!」

「なに、ちょっとした手品だ。君が気にするほどでもあるまい?」

「ふざけるな! ちょっとした手品だと? 私を嘗めるな!!」



彼の挑発に怒りを隠せないアズリアは、側近の一人を送り込む。

それを見た彼は変わらず、矢を放つ。



ドスッ!



「うぐっ!」



矢が胸に刺さり、よろめくも止まらずに彼に襲い掛かる。



「そうだ! 所詮は弓兵・・・接近すればこちらに勝機が・・・」



しかし、そんなアズリアの希望を・・・



「―――投影、開始トレース・オン



白と黒の双剣が打ち砕いた。

その双剣は、ただの剣ではないとすぐにわかった。

その剣はまさに芸術と言うにふさわしく、また神秘の力を備わっている。

碧の賢帝とは違うが、そんな感じがした。



「「なっ?!」」



突然、双剣が現れ、驚きを隠せない2人。

そして彼は双剣を手に取り、一刀を振るう。



ズッ・・・



「があっ!!」



肉を切るような音が響き、ギャレオと呼ばれていた人が倒れた。

しかし、胸を押さえながらも立ち上がろうとするところを見る限り

傷はそこまで深くはないようだった。



「そんな・・・15もいた兵達が、たった1人にやられただと?」

「さて、残るは君だけだが・・・まだやるか?」

「くっ・・・! 総員撤退!!」

「待って、アズリア?!」

「アティ、いずれお前とは決着をつける・・・それまで待っていろ!!」



苦虫を噛み潰したような顔をしたアズリアは、私にそう言って

兵達を引き連れ、撤退していった。










†           †           †











結局、彼らとの戦いは私の一方的な展開で終わった。

いや、あれは決して戦いと言えるものではないな・・・

とりあえず、2人の少女の元に戻ると、2人は多少の警戒はしていたものの

私に近づき、感謝の念を送ってきた。



「あの、助けてくださってありがとうございました!」

「わざわざ助けてくれて、感謝しますわ」



やはり似ている・・・イリヤに・・・



「どうかしましたか?」

「いや、なんでもない」



そっけなく返すと、先ほど手痛くやられていた

2人の保護者らしき者が駆け寄ってきた。

しかし、彼女を見た瞬間、かつての自分のような感覚に陥った。



「あの、2人を助けていただいてありがとうございます。なんてお礼をしたらいいか・・・」

「・・・なに、別に礼を求めるために助けたわけじゃない」



何故彼女が、愚かだった過去の自分のように思えるのだろうか?

そう言えば、さっきやられていたのもこの2人が人質にとられていたからだ。

もしや、彼女は本当に、かつての自分のように自己犠牲が激しいのではないかと思った。



「君は・・・」

「へ?」

「君は何故、あの男のいいようにやられていたんだ?」

「「え?」」



私の言葉に反応したのは、先ほど助けた2人だった。

そして彼女はそれを聞いて驚いた顔をしていた。



「・・・気付いていたんですか?」

「あぁ。君の身体から溢れる魔力からして、この2人を傷つけずに反撃するほどの実力はあると踏んでいた。

 しかし、君はただ耐え、しかも死すらも覚悟していた・・・それは何故だ?」



私の問いに、彼女は答えれずにそのまま俯く。



「そんな・・・先生」

「それが本当なら何で・・・貴方はそうしなかったんですの?!」



2人の言葉が彼女を攻める。

それでも彼女は顔を上げようとはしなかった。

しかし、やがて顔をあげ、ようやく重い口を開いた。



「確かに・・・あの時、この子達を傷つけずにあの人だけを倒す方法はありました」

「「?!」」



その言葉に、誰もが驚き、この二人はその言葉にただ呆然としていた。



「ただ、それは膨大な魔力と、正確に当てる技術を要します。

 私は元軍人でしたが、それでも成功する確率は5割も満たなかったんです・・・

 それに・・・成功しても、その代償としてあの人は死んでしまってたでしょう。

 例え敵であっても・・・私は誰かが傷つき、死んで欲しくはなかったんです!」

「・・・だから、その為なら自分が犠牲になろうと?」

「はい・・・」



やはり・・・彼女は昔の私と同じだ・・・

他人を救うためなら喜んで自分の身を投げ出す・・・

ではどうする? こんな愚か者を制裁した方がいいのだろうか?

このような思想を持つものは、いずれ絶望する。

そうなる前に・・・



パァン・・・



突然乾いた音が鳴り響いた。

音の発信源を見ると、先ほど助けた赤い帽子をかぶった少女が、彼女の頬を叩いていた。



「貴方は・・・私達の使用人ですのよ? それなのに自分を犠牲にするなんて勝手な事しないで!!」

「あ・・・」



少女はそう言って怒鳴りつけ、彼女はハッとした表情をした。

そう言えば、大人しい方の少女は彼女を先生と呼んでいたが、彼女は一体何者なのだろうか?

使用人で先生・・・家庭教師とか言うやつか?

そんな事を考えていると、大人しい方の少女が彼女に近寄る。



「先生は、何時までも私達の先生ですよね? ずっと私達を守ってくれますよね?

 だから先生・・・二度とあんな悲しい事は言わないでください! ずっと私達の先生でいてください!!」

「・・・っ!」



涙を流しながらも少女は、彼女に訴えた。

そして、それを聞いた彼女もまた・・・涙を流し始めた。



「アリーゼ、ベルフラウ・・・ごめんなさい!!」

「「先生!!」」



抱き合う三人・・・こう言っては何だが、完全にこっちは置いてけぼりだ。

涙ぐましい場面なのだが、置いてけぼりだ・・・あぁ、置いてけぼりだ。

しかし、これで彼女を殺す理由はなくなった・・・彼女には守るものがある。

守るものがなく、誰かが助けを求めていなければ存在理由がなかった・・・私とは違う。

さて、この後はどうする? 何もしなければ、5日は現界できる。

私のスキルである単独行動では、通常は2〜3日ほどだが、何せこれだけのマナの量だ。

それだけ現界できても、なんら不思議ではない。



「あの・・・」

「む?」



彼女が話し掛けていた。

目は赤く充血してはいたが、その顔は晴れ晴れとしていた。



「本当にありがとうございます。貴方のおかげで自分の気持ちに気付けました」

「なに、その気持ちに気付けたのは、君自身であり、そしてあの子達のおかげだろう? 私は何一つしてはおらんよ」

「いえ、貴方のあの一言がなかったら、この気持ちに気付かなかったのかもしれません」



嬉しそうにそう言う彼女の顔は、かつて自分が愛した少女のように美しかった。



(やれやれ、本当に厄介な世界に来たものだ)



そう思ったものの、私はこの時少なからず喜んでいるのだろう。

心が暖かいと感じる・・・こんな気分になったのは何時以来だろうか?



「そう言えば私達、お互いの名前を知りませんでしたよね?」

「あぁ・・・そう言えばそうだな」

「私の名前はアティ。この子達の家庭教師をしています」



彼女・・・アティはやはり家庭教師だったか・・・

しかし、私はどう答えればいいのだろうか?

私はすでに名を捨てた身だ・・・しかし、捨てた名を再び使うか?

それとも、いつかは呼び出されるであろう聖杯戦争のクラス名で名乗るべきか?

深く考える時間はない、彼女は返答を待っている。

だから、私は・・・



「私の名はエミヤシロウ・・・他のものからは、アーチャーとも呼ばれている」



結局、2つを名乗ることにした。

どちらにしろ、私に残された時間はあまりない。

どちらで名乗っても、支障が出ないと思ったからだ。



「シロウさんですか、いい名前ですね」



素でこう返してきた彼女は天然なのだろうか?

初対面の相手に名で呼ばれたのはセイバー以来だ。



「それでシロウさんは、これからどうするんですか?」

「・・・特に何もしないさ。ただ消えるのを待つだけだ」

「え・・・」



そう答えると、アティは呆然とした。

私の口から出た消えると言う意味がわからないようだ。



「ど、どういうことですか?! 消えるだなんて・・・」

「そのままの意味だ。私は人間とは大きく異なっていてな。魔力の供給がなければ、消えゆく存在なのだよ」

「それって、精神生命体ってことですか?」

「それとは少し違うのだが・・・まぁ、そう思ってくれても結構だ」



それを聞いたアティは何やら思いつめたような顔をした。

なぜ、彼女思い悩んでいるのだろうか?

私の問題であると言うのに・・・



「あの・・・その魔力の供給って、どうすればいいんですか?」

「・・・基本的に契約をして、パスを繋げるか、あとは・・・」

「・・・あとは?」



・・・これを言ってもいいものだろうか?

彼女のそばにはさっきの2人がいる。もちろん、この会話も聞いている。

それなのに、これを言ってしまえば不潔と言われてもおかしくない・・・いや、絶対に言われる。



「これは聞かないほうがいい。少なくとも、そこの2人には非常によろしくない」

「聞かせてください! このまま貴方を消えるのを、黙っている訳にはいきませんから」



どうやら彼女は私が消えるのを良く思っていないようだ。

だからといって、言ったら問題だ。

とりあえず、彼女の近くに行き、耳元で小声で伝える。



「体液を注入することだ」



それを聞いたアティは、顔をリンゴよりも赤らめてしまった。

そばにいた2人は聞く耳を立てていたが、聞こえなかったらしく、彼女に何を言われたかを聞いている。

無論、彼女は今だに赤くなって固まっているが・・・

5分後、ようやく再起動し始めた彼女の一言は・・・



「あの・・・初めてなので、優しくして・・・」

「君は何を言っているんだ?」



とてつもなく問題発言をしたアティを落ち着かせる。

とりあえず落ち着いたものの、彼女は私を絶対に現界させるつもりらしい。

一応説得はしてみたものの、アティは折れることなく、結局私が折れてしまった。

そして、彼女は私と契約をするべく、契約の詠唱を唱え始めた。



「――――告げる!

 ・・・汝の身は我の下に、我が命運は汝の剣に!

 この意、この理に従うのなら、我に従え!

 ならばこの命運、汝が剣に預けよう・・・!!」

「我が名に懸け誓いを受ける・・・君をを我が主として認めよう、アティ」



それを聞いたアティは安心したのか、微笑み、そして崩れ落ちた。



「「先生?!」」

「あんた・・・先生に何をしやがった?!」



彼女の元に2人が駆け寄り、そして彼女のそばにいた男が私に詰め寄ってきた。



「別に。ただ、私と契約をした際に魔力を多く消費したために気を失っただけだ。

 明日になれば、元に戻っているはずだ」

「・・・本当だな?」

「あぁ、安心したまえ」











◆            ◆            ◆












思い出せた・・・昨日の事を全部思い出せた・・・

初めての学校での授業、アズリアとの再開。

そして・・・シロウさんと契約・・・

シロウさんと契約した時に、突然の虚脱感で意識が遠くなって・・・

気がついたら朝で、しかもシロウさんが料理を作ってて・・・

あぁ、駄目だ・・・頭がうまく回転しない。



「アティ、朝早くに人の顔を見て、頭を抱えるようなしぐさをするのは失礼だと思わないか?」

「あ・・・ごめんなさい」



どうやらそんなことをしていたらしい。

もちろん、わざとしたわけではなかったが・・・



「とりあえず、顔でも洗ってきたらどうだ? もうじき朝食もできる。

 年頃の女性が、眠たそうに料理を食べるのは少々忍びないと思うのだが・・・」

「そうですね、そうしてきます・・・」



眠い目を軽く擦り、洗面所へと向かう。

ぱしゃぱしゃと、顔を濡らす水が気持ちよく感じる。

でも、シロウさんは一体何者なんだろう?

弓の腕は超一流、剣の腕前も私とは比べ物にならない。

そして、さっきの料理にしても香りからしてとても美味しそうだった・・・

彼が何者なのかなんて、全く予想がつかない。

特に最後の料理で全くわからない。

とにかく、彼が何者何かを知るために、私は彼の元へと向かった。










†           †           †











あれから彼女は戻ってきて、共に食事をとった。

別に私は食事をしなくてもいいのだが、気分の問題だ。

現界したのだから、たまには自分の料理を食べたい気にもなる。

腕も落ちてはいないようで、アティも本当に美味しそうに食べていた。



「シロウさんって、料理もできるんですね」

「あぁ、父親がだらしがない人だったんでね。自然とできるようになったんだよ」



彼女はそうなんですかと言うと、本題に入ってきた。



「それでシロウさん・・・貴方の事を教えてくれませんか?」











◆            ◆            ◆












結局聞き出せたのは、彼の世界の事、彼がどのような存在であるかだけ。

彼の過去も・・・そしてあの剣の丘のことも知りたかったけど、はぐらかされた。

こうなったら、意地でも聞き出そう・・・どれだけ時間が掛かってもいい。

そう、私は彼のマスターなのだ。聞き出す権利はあるはず。

だからシロウさん・・・覚悟しててくださいね。










†           †           †











結局彼女に教えたのは、私の世界の事、そして私がどのような存在かだけ。

何故彼女は私の過去を・・・そして無限の剣製のことを聞き出そうとしたのかはわからないが

これからも彼女は、それらを聞くために私に詰め寄ってくるだろう。

喋るつもりはさらさらないが、仮に話すときが来るとすれば

それは彼女を本当の意味で救えた時だろう。

あの2人の前ではそう誓ってはいたが、もう一度あのような状況になれば彼女は再び己を犠牲にするだろう。

それほどまでに、彼女の心には自己犠牲という言葉が刻み込まれている。

ならば私はここで誓おう・・・どれほどの時間が掛かるかはわからない。

しかし、彼女をかつての自分のようにはしない。

私は彼女を正そう・・・この身が尽き果てるまで。

















続く


















あ〜、サモンナイト新作が出る前に投稿しようかと思ったんですけど、無理でした。

とりあえず、後書きなんて後編ぐらいに書きますよ(ぉ

それでは・・・






完成 8月17日